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Muchonovski always get it wrong

なにが なんとも。どれが どうでも。

昨日のつづき

おもむろに昨日(正確には646日前)の記事を読み返してみたけど、2年経ってもほとんど修正すべき点がないような。変化のとぼしい業界であるね。もうちと見取図的なことをまとめて追記してみる。

内装卸の業界ヒエラルキーって、おおむね:
  • メーカー系…サンゲツ(名古屋店のみ)、リック、シンコール
  • 全国・道州規模…年商50〜100億円規模。ニップ、ワタナベほか
  • 都道府県規模…年商10〜50億円規模。各地域のドミナントな内装卸代理店(1社〜数社)
  • 地場の小問屋…年商数億円以下。障子・襖紙問屋がさほど業容拡大しなかったパターン

みたいなかんじになってる。当然、メーカー系や大手になるほど仕入能力が高いので、ふつうの業界なら小問屋からそっちに売上が流れて勢力図が整理されてゆくところだけど、「営業の小回りが利くほど得意先に重宝される」という側面もあり、まだそんなに急速に業界再編が進んでるという感じはしない。どちらかというと小問屋が事業承継できなくて廃業、そこが抱えてたお客さんにもう少し規模が大きい問屋が入っていく…という流れでプレイヤーが減ってきているような気がする、現時点では。ちなみにうちは都道府県規模。

内装仕上げ業界の課題としては:
  • 少子化により内装仕上げ業(≒クロス・床施工)の市場も縮小傾向にあり、この先も好転の見込みはない。
    • 行政の箱物が激減している。国土強靱化には内装仕上げはほぼ無関係。
    • 新築住宅もバブル期の半分以下に激減し、復調見込みはない(参考)。
    • リフォーム市場は伸長しているが、水廻りリフォームやバリアフリー対応ではレタッチ程度しか内装材料を使わない。
  • 内装仕上げ業自体が付加価値のひくい業種になっており、材料・施工とも単価が下落しつづけている。
    • 意匠性のある壁紙がほとんど使われなくなり、従来ならアパートの張替用とされていた量産グレードの白無地ビニル壁紙が新築住宅でも中心になった。安いわ貼るの簡単だわで当然単価が下がる。
    • 内装仕上げ業は職人仕事としてはあまり経験・技術が必要とされないほう。勘が良くて客がいれば1〜2年で独立できると職人さん自身も言う。「高い施工技術・深いノウハウを高い単価で売る」という形が作りにくい。
    • 繁忙期(年末・年度末)と閑散期の現場量の差が極端で、繁忙期にはヘタな職人さんにもそれなりに仕事があるため、技術による淘汰が働きにくい。しかも施工単価は上方硬直性が強く、閑散期の水準に収斂している。
    • 建築現場ではほぼ最終工程になり、業者としての立場も弱いので、工程遅れのしわ寄せを受けやすい。短納期・高品質・低単価という無理ゲーになりつつある。

などなど。業界団体で地位向上活動とか陳情とかしてるみたいだけど、市場構造そのものに起因する問題が多いので、なかなかうまくいってない。

それに対する内装問屋の対応アプローチは、だいたいこんな傾向:
  • 材工共
    • 材料と施工をセットで売るアプローチ(いわゆる材工共:ざいこうとも)。材料提供だけではなく施工まで正規業務として受けられる体制を作る。多くの問屋は手間職人を囲い込んである程度の施工支援能力を持っているので、そこを拡充して元請から材工共で業務受託する。仕入能力があるぶん、一般内装業者よりもコスト優位。ただし既存得意先からすると、問屋が商流を崩して自分たちのテリトリーを荒らしていることになりかねず、諸刃の剣。
  • 取扱商材の拡充
    • 壁紙・床材・窓廻り商材に加えて、住設機器や建材系も扱うことで業容を広げる。商品単価が格段に高いので、売上の伸びしろは格段に増す。内装仕上げの前工程に属する商材を扱うことで、内装仕上げの仕事も取りやすくなる。これも元請直になりがちなので諸刃の剣。あと内装材のデリバリー体制だと運べないようなものも出てくる。
  • 付加価値の向上
    • レオパレスなど大手アパートで「入居時のオーダーメイド内装」というトレンドが出てきている(参考)。オリジナル性を高めるためのカスタムプリントという提案もある(参考)。このあたりの提案を問屋主体で行うことで単価向上を目指す。これはまだ端緒についたばかりだし、みんながやり出したら単価向上にはならないかもしれない。

いずれの対応アプローチも、同じ内装問屋のプレイヤーを減らすという「横の業界再編」ではなく、〈施主−元請−内装業者−内装問屋−メーカー〉というデマンドチェーンを整理して内装問屋が施主側・元請側に近づいていく「縦の業界再編」という色合いが強い。「内装問屋がワンストップサービスとして内装仕上げの工程を請け負いますよ」という感じね。

一方で、内装業者さんは内装業者さんで、生き残りのためには自分たちの施工力の上限に縛られずに売上額と利益額を積み増ししたい。そこで、問屋や他の零細内装業者の施工力を動員して大現場や多数現場の施工を請け負い、自分たちは営業機能に特化してゆく、という流れも出てくる(いわゆる「ブローカー化」)。ブローカーはマージンビジネスなので問屋へのコスト圧力が非常に高くなり、問屋としてはうれしくない。そもそも自分たちも営業機能は持っているので「そんならブローカー挟まず直需でやって利益率上げたいんすけど」という話になってしまう。

多くの問屋や内装業者さんが「いずれ内装業は〈内装業者のブローカー化〉と〈問屋のワンストップサービス化〉という2つの流れに収斂してゆきそうだなあ」という予感はうっすら持っているような気がするけど、どちらにしても大変しがらみまくるマターなので、みなさん長いスパンでどう着地していくかをじりじりと模索しているような感じですね。

弊社はどっちに行くのか。それはまだないしょです。