Muchonovski always get it wrong

なにが なんとも。どれが どうでも。

老年詐欺師のK爺さんの話

先週末、大阪在住のYと一緒に京都に梅見にいくついでに、四条大宮の困った爺さん、K氏の様子を見に行きました。Yはもう何年も前、まだ三条通商店街で古物商をやってたいかにも好々爺然としたK爺に声をかけられ、「おおあなたはソムリエ資格を持っているのかそれは素晴らしい、自分の店では色々な人に講座をお願いしている、あなたにワイン講座を任せたいから保証金を預けなさい、チラシや募集は全部こちらで手配するからしばし待たれよ」と持ちかけられて二十万円の保証金を渡したのですが(この判断の甘さについてはYも弁解の余地なしと認識しているのでスルーでおながいします)、その後K爺は四条大宮に引っ越して『サラリーマンの健康酒場』なる怪しい飲み屋を出したきり、何かを開講するような様子は一向に見せないまま。直接店を訪ねて「もう講座なんかいいから、預けた金を返せやれ返せすぐ返せ」とやっても「もうすぐ○○」「今はまだ××」とのらりくらり…。そのうちYが仕事の都合で京都から大阪に引っ越したため、後は内容証明郵便を定期的に送りつけたりした程度で、ろくろく取り立てもできなくなってしまった、と。今回はYが「あのお爺さん、最近は携帯も固定電話も『お客様の都合でお繋ぎできません』になっちゃって、一体どうなってるのかしらねー」というので、いまさら金が返ってくることは期待せず、せめて生死だけでも確認しに行こうというのが寄り道の主旨だったわけです。

で、「閑古鳥が鳴いてる飲み屋で爺さんがぽつんと座ってたら切なすぎるなぁ」「食い詰めて餓死してたりしないといいけど」とか言いながら(70歳ぐらいの、いかにも同情心をそそる風体のお爺さんなのです)店の前まで行ってみると、『サラリーマンの健康酒場』だったはずの看板が『オールディーズ・バー』に変わってる。店の人もK爺とは違う50代の男女。しかもBGMはなぜかオールディーズじゃなくてTOTO。おやおやこれは?と思いつつ「前にこちらの場所でお店をやられていたKさんはどちらに…」と聞くと、おじさんの方が「ああ、Kはここは辞めました、というか、逃げてもうたんです。ワシらもあいつ探してるんですわ」と。返す刀で「あんたもKに金貸してるんやろ? そういう人、この1ヵ月間ほど店開けただけでもう20人以上来とるんよ。『ここの2Fを貸しましょう、だから手付け払ってくれ』とか何とか適当言うてな、見事にみなさん性質のええ人ばっかり騙されよるよ、絵の先生だの何だの、まぁぎょうさん来おったわ。もうみんな合わせたら2000万近く引っ張っとるん違うか? そういうぼくらも別の件で500万から行かれてるから、本気であいつ捕まえてもうギタギタにしたらな思て、ここで張ってるんよ。あんたらみたいに訪ねてくる人の中にKの居場所知ってる人がいてるかもしれんからね」。わお!

どうやら講座詐欺や開業詐欺はここ数年のK爺さんの常習手口だったようで、聞いただけでもうどん屋・絵の教室・柔道教室・酵素風呂などなど、さまざまなビジネスの開業を手伝うとか、店を貸すとか、あるいはポスティングをやるとかで、相手から数十万円ずつ摘んではその後を蒟蒻問答で切り抜けるという行為を繰り返していたモヨン。ところがちょっとコワモテのこのおじさんが(桁の違う金を突っ込んだ分)本気で追い込みをかけてきたので、K爺も危険を感じて店を放って逃げ出したらしい。その後わかったのは、くだんのK爺が店の大家にも全く家賃を入れず公共料金も全く払ってなかったというありがちパターン。コワモテの連れ合いらしき女性によれば「あたしもKに騙された口なんだけど、あのひとって人のスケベ心みたいなのにうまく付け込むのよね〜。ちょっとお金に余裕がある人が、『先生になってみたい』とか何とかって気持ちに付け込まれて、フラフラ〜ってなっちゃうみたい」とのこと。おじさん曰く「あいつ、客が手付けを打った後は『今日は千件ポスティングしてきました』『今日も千件行ってきました』って調子ええことばっかり言いよるんやけど、考えたら爺さん一人でそんなに廻れるわけあらへんやろ。逃げた後にここ入って2F見たら、案の定刷ったチラシ全部山積みや。それこそ弁当屋から何から、みんな刷るだけ刷って1枚も配ってない。あいつホンマ性質悪いで」。わお!

このコワモテおじさんはK爺とこの物件の家主がこっそり連絡を取り合ってる形跡があることから、実は家主が素寒貧のK爺と共謀して、K爺の連帯保証人から金を巻き上げようとしてるんじゃないかと踏んでいるらしく、家主を脅しつけて(おいおい)無理矢理飲ませた安い家賃でしばらく物件を占有して(おまけに居抜きで飲み屋まで開きながら)、もうこりゃ庇うだけ損じゃと思った家主がスケープゴートとしてK爺を連れてくるのを今か今かと待ち構えているとのこと。こう書くと完全におじさんがスジモンみたいですが、実際はえらく愛嬌があるうえに話もめっぽう面白く、裁判所で「必ずしも詐欺とは言い切れんから強制差し押さえでけんて一体どういうこっちゃ」と大立ち回りして自分が逮捕されかけた話だの、何番抵当かを持って「おいKちゅう奴出さんかい」と乗り込んできた切り取り屋をキャン言わした話だの、「実はぼくの本業は歌手で…」と日本マーキュリーから出した演歌テープが出てくるだの、「去年癌で死ぬはずだったのに(じっさい髪の毛が抗癌剤ではげちゃってた)Kへの恨みのせいで年越してしまいましたわ〜(笑)」だのと延々愉快トークが続くのです。このコワモテカワおじさんの人徳(?)もあってか、『オールディーズ・バー』は今ではすっかり「K爺さんに騙された近隣住民たちの溜まり場」と化しているらしく、そんな常連人脈のおかげで、とにかく客が入っている所を一度も見たことがない『健康酒場』時代よりもむしろ繁盛してたりするのが笑えるような笑えないような。

最後に「で、Kさんを掴まえたらどうするんです?」と聞いたところ、「まあ五体無事では済まされんね〜。正味の話、あいつだけは△さな気が済まんし、もう○○保険に入ってる店で□□かぶって××してもらおうかと思ってるんよ〜。あんたらも、もしKから連絡あったらうまいこと『困ってるなら金は貸す』みたいな話で騙してここまで連れてきてくれん? 最後××するところは一緒に見せたるからな〜」とニコニコ。我々としてもマッコリなんぞいただきながら「はぁ、そうですかぁ〜」といちいち感心するほかなかったのでした。おかげで梅見行けなかったゆ。K爺逃げて〜!w

追記:文字にするとわからんけど、最後のところは9割がた冗談だった、と思います。残り1割はどうだかしらない。